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治安維持法　治安維持法

　１９２５(大正１４)年３月，護憲三派(加藤高明)内閣により治安維持法が，普通選挙法とほぼ同時に成立した。長年の懸案であった普通選挙法の実施にあたり，社会運動の高揚が予測されたため，それを防止するための法律である。この法律は，具体的な行為を対象とした治安警察法とは異なり，国体の変革と私有財産制度の否認という思想・信条を取り締まりの対象とした。対象は，共産主義・社会主義者(運動)から労働・社会運動全般へ，さらに自由主義者や宗教団体へ拡大された。１９２９(昭和４)年と１９４１(昭和１６)年には緊急勅令で最高刑は死刑とすること，また予防拘禁制度を付加するといった改悪が行われた。

■　治安維持法

第一条　

　天皇制の国体の変革を企図したり，私有財産制度を否定することを目的として結社を作り，またはその目的を認識していて加入した者は１０年以下の懲役または禁錮の刑にする。以上に該当する未遂罪も処罰する。

第四条

　第一条第一項に該当する目的を以て，騒乱を起こしたり暴力行為などその他生命・財産を損害する犯罪を煽動した者は，１０年以下の懲役または禁錮の刑にする。

■　改正治安維持法

第一条

　国体の変革を目的とする結社を組織した者，または結社の役員その他指導者の任務に従事した者は，死刑あるいは５年以上の懲役，禁錮の刑にする。・・・・私有財産制度を否認する目的の結社を組織した者，または結社の目的遂行のために援助行為をした者は・・・・。

〔官報〕

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