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マップ・コミュニケ−ションマップ・コミュニケ−ション」って何?


 地図を眺めていると,つい時間を忘れてしまうほどのおもしろさに溢れている。子どもたちに,この地図のおもしろさを伝えたいと「マップ・コミュニケ―ション」の活動に取り組んでいる。まず,町を創造的にイメ−ジ化する要素は,パス(道路)・エッジ(縁)・ディストリクト(地域)・ノ−ド(接合点)・ランドマ−ク(目印)である。

  パス(道路)・エッジ(縁)・ディストリクト(地域)・ノ−ド(接合点)・ランドマ−ク(目印)  

 次に,地図を読みこなす基本的なスキルとして,「縮尺方位地図記号等高線」がある。

 読図の基本的なスキル

   縮尺方位地図記号等高線 

 この4つのスキルにより地図を見る楽しさは倍増する。地図は,実際の場所をある限られた広さの紙面に表すものであるから,当然実際より小さくなる。その小ささが「縮尺」である。縮尺とともに基本となるのが,方位。地図の方位は,原則として北が上になるようにする。レイアウトの関係で北を上にできない場合は,どちらが北であるかを示す矢印を用いる。この矢印の記号は,北半球と南半球では違うから面白い。また,地図は実際の土地を小さくした上に,地上にあるものだけでなく,地名や境界線などの情報をできる限り多く盛り込むために,各種の統一された記号が用いられている。この地図記号には,それぞれに由来があり,時代によって変更されている。例えば,現在,田は,稲の切り株を表す 水田 の記号に統一されているが,従来は,乾田・水田・湿田など細かく区別されていた。これは,軍隊の行軍に際して支障があるかないかを区別するもので必要であったのだ。そして,等高線。実際の地形は,山があったり谷があったりして複雑であり,地図は,それらを平らな面に表さなければならないので,この高低を表すために用いられるのが等高線である。これらのスキルにより地図から,実際の土地の姿を創造的にイメ−ジ化することをマップ・コミュニケ−ションと命名して取り組んでいる。


 そもそも地図は,重要な国家機密であり,現在の日本ほど自由に詳細な地形図が手に入る国は,めずらしい。社会主義国や軍事国家など依然機密扱いにしている国は相当数あるし,詳細な地図が作れないために手に入らない国もある。また,地図は,土地の空間的なイメ−ジだけでなく,時間という歴史的イメ−ジを感じることができる。その代表は,地名である。地名には,それぞれ由来があり土地ごとの歴史や文化を今に伝えるものであるが,最近,住所を分かりやすくする目的で,「○丁目○番地」に置き換えられている。さらに,当用漢字に該当しない漢字を地名に使わないということで,古くから続いた地名の多くが廃止されている。地名という文化があまりにも軽々しく抹殺されている。また,地図をめぐる事件や逸話も多い。日本では,シ−ボルト事件が有名である。鎖国が続いていた江戸時代,長崎の出島は,例外的にオランダ人に開かれていた。ドイツ人の医者シ−ボルトは,このオランダ人のための医者・蘭学者として来日していた。江戸まで旅をして,高橋景保(伊能忠敬の死後「伊能図」を完成させた人)と交際し,伊能図をもとにした日本略図をひそかに手に入れる。2年後,帰国のためにその地図を船に積みこんで持ち帰ろうとした。台風で船が壊れ,地図が役人に見つかってしまう。このためにシ−ボルトは,翌年国外追放。景保は,死罪となってしまう。これがシ−ボルト事件である。明治になり,詳しい地図も原則として機密扱いではなくなる。しかし,正確さが勝負の地図なのに,わざと間違えて作った地図が存在する。戦時下,軍事施設の多いところを白抜きにし,第二次大戦の時は,地形図は発売禁止。広島では,瀬戸内海に浮かぶ小さな大久野島。毒ガスを作るための特殊工場が建てられこの島は,軍部機密を守る必要性から地図上では海となった。ちなみに工場が建設されるまでこの島に生活していた六世帯の住民は,強制撤去されたという。地図が示す数奇な運命を今日に伝えてくれる。


 家庭やオフィスにコンピュ−タが浸透し,あらゆる情報がデジタル化されて,カ−ナビゲ−ション地図や様々な情報を組み合わせた地理情報システム(GIS)が活躍している。デジタル化が進めば,好きな部分を取り出して拡大・縮小できたり,任意の距離や角度をコンピュ−タが自動的に計算してくれたり,自分の求める情報でテ−マ地図を作ることも簡単で,保存するにもスペ−スをとらない。これからは,デジタル化した地図がスタンダ−ドになり,ますますマップ・コミュニケ−ションの多様性が見えてくる。我が国は,誰でも地図を自由に入手できるすばらしい国である。それが当たり前だと言える現在,平和な国家である日本を実感し,今後ますますの技術開発を楽しみにしているところである。


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