■　民撰議院設立の建白

　私ども謹んで現在の政権のありようを考えてみますのに，上の天皇でも，下の人民でもなく，ただ政府の官僚に独占されている。(略)言論の道がふさがれているので，困苦の実情を訴えることもできない。・・・・旧習にこだわって改めなければ，おそらく国家は崩壊するでしょう。私どもは愛国の心情をおさえがたく，そこでこの危急を救う道を考究してみましたが，それにはただ天下の公議世論を盛んにするしかない。天下の公議世論を盛んにするには，民撰議院を設立する以外にはない。すなわち，官僚の権力を制限しえてこそ，国民上下みな安全幸福を享受できるでしょう。次にその事情を述べましょう。そもそも人民が政府に租税を払う義務をもつのは，とりもなおさず，その政府の政治に関与し，その是非を論ずる権利をもつものである。これは天下の通論で，私どもがあれこれ云う必要もないことです。・・・・

〔日新真事誌〕