生活科校内研究会。 (2009.2.10.) 戻る
赤穂市にある小学校の生活科授業の校内研究会に参加してきた。
ここ数年,生活科の研究会に参加するのは,なるべく遠慮している。
それは,現状の生活科を変えていくのは,たやすいことではない。
また,現場では,今の生活科でも子どもにとって楽しい教科になっていると思うので,変革の必要性を感じていない。
だから,自分が研究会に出向き,あれこれ言ったところで,受け入れられるとは思えない。
厳しい現状があることを自覚しているからである。
自分としては,先生方にあれこれ指導するのではなく,学部生の段階で生活科に対するイメージを植え付けることに力を注いでいる。
現状の生活科は,生活科誕生に尽力を注がれた中野重人先生の影響が大きい。
いわゆる体験活動終始型の生活科が横行している。
新学習指導要領で,「知的な気づき」なんて言われても,15年以上前に自分が主張していることだ。
自分が全国社会科教育学会(茨城大会)で課題研究で発表を依頼された。
その時に,「社会科につなげる生活科授業の構成」で発表をした。
その時に,司会であった中野先生から言われたことは忘れはしない。
「そんな知的なことを言っていたら生活科は受け入れられない。」
というようなことを言われた。
まだ,若い私は,当然のように反論をしたが,その会に参加している人たちに受け入れられたとは思わなかった。
だから,この生活科を改革するためにがんばるぞと心に誓った。
38歳の時だった。
これまで,その反骨心でがんばってきたようなところがある。
それが今ではどうだ。
学習指導要領にもやっと気づきの内容も明記され,自分が主張をしていた自分のよさや可能性と言った文言も入った。
さらに,「比べる」,「たとえる」などの表現の重要性なども入れられた。
ここまで来るのに自分にとっては,10年以上の月日がかかった思いである。
今,堂々と,「比較・分類思考形成」をめざす生活科と主張している自分の生活科が認知されつつある状況だ。
1年生・生活科「昔の遊びをしよう」の授業。
新採2年目の新鮮みのある若々しい先生。
子どもたちは,楽しく取り組んでいた。
1クラス25名の1年生。
インルエンザのために学級閉鎖となり,2週間ばかり公開授業が延期された。
現場に蔓延する交流志向型・体験活動終始型の生活科授業。
別にそれが悪いわけではない。
いかに構成をしていくのか,取り上げる素材が問題なのだ。
今回は,昔の遊びを取り上げ,地域のお年寄りとの交流を目標として,授業づくりがなされていた。
授業後,いつものように全教員で研究協議会がもたれる。
平成22年度の研究会開催に向けて,全教員が団結をされて研究をされている。
この学校の先生たちが,協力をして取り組んだらすばらしい研究会ができると思う。
校長・教頭先生を中心に,とても意欲的な先生方が集まっている。
だから,この学校では,生活科の研究もできるのではないかと思っている。
生活科に関しても,もう少し研修の機会を設定して取り組んでくれるとうれしい。
でも,社会科の研究会なので,余計なことはあまり言わないようにしないといけないとも反省している。
生活科は,国語や算数,図工,音楽,体育などの教科をネットワーク化していく役割がある。
だから,評価に関しても,生活科だけで考えることはできない。
「書く力」がついていない子は,国語科でしっかりと指導しないといけない。
絵で表現することが苦手な子には,図工科でしっかり指導しないといけない。
だから,生活科の評価で「書くことは・・・」なんて議論をしていること自体がナンセンスだ。
生活科は,それぞれの教科を総合していく必要がある。
いわゆる子どもが生きていく上でのプロデュース力をつけてやることが必要で,教師もそれを評価しないといけない。
それは,目には見えにくい学力である。
教師の地道な「見取り」しかないのだ。
それなのに,「どのように評価したらいいのか。」
とずっと前から同じようなことばかり考えている。
そのような質問をされると答える気もしないのだが,答えないわけにはいけないので話す。
ただ,もう少し時間をかけて説明しないと,自分の思いは伝わっていないだろうと思う。
生活科では,どれだけ子どもが熱中して取り組める素材を提供できるのか。
グループのみんなで協同で,試行錯誤できるような素材を提供できるのか。
そして,何より,情緒的・感性的な気づきを科学的認識の芽となる知的な気づきを生む素材を提供できるのか。
これらは,つまり,教師が,環境構成をいかにできるのかにかかっている。
研究会では,明確な評価を気にせず,自由にカリキュラム編成をすることから考える必要性を述べた。
現場の先生方は,教科書や指導書に書かれてある内容を,そのまま行う。
子どものニーズや実態などと関係なく季節・時間追いをしている。
それがだめなのだ。
例えば,子どもたちが授業中,小さな声で発表をする。
普段遊んでいる時には元気な声で言えるのに。
そんな子どもたちに自信をもって大きな声で発表できるようにする。
そのために,どんなカリキュラムが必要なのか。
毎日の学校生活の中で,継続した音読の取組や書くことや日記指導の徹底。
授業では,生活科を中心に,国語や音楽,図工を絡めて,コミュニケーション能力育成を掲げて取り組めばいいのだ。
ただ,そのことをどれだけ理解してくれただろうか。
生活科に関して,自分の主張を相手にうまく伝わるように,原稿にまとめて,研究成果として完成させたいと思う。
それが生活科に関する次の目標である。