嬉野関係](大学院社会系コース同窓会誌)                


 気骨のある生き方を

30期生のみなさん,修了おめでとうございます。
今後ますますのご活躍を期待しております。

今,NHKで「坂の上の雲」を放送している。
2009年〜2011年の3年間にかけて年末の12月に限定して放送されている。
1年は長いので忘れてしまうのではないかと思っていたが,あっという間に年末を迎える感覚でいる。
「坂の上の雲」は,20世紀に入った日本が舞台である。
世界の列強に仲間入りする日本の姿を司馬遼太郎の世界で描いている。
もちろん,独特な脚色もあるが,見ていてワクワクする内容である。
そう思えるのは,ふるさとである愛媛県松山市出身の秋山兄弟を始め,正岡子規や夏目漱石など,松山にゆかりのある人物を中心に描かれているからである。
出演している俳優陣の配役もすばらしい。
主役の本木雅弘はもちろん,阿部寛,香川照之,渡哲也,西田敏行,竹中直人など個性のある役者が揃っている。
若者たちの浮ついた恋愛ドラマや定番の刑事物や病院物のドラマのオンパレードである民放とはひと味違った雰囲気が純粋にいい。
明治の偉人たちの生き方を見ていると,やはり現代日本人がなくしているものがある。
自分も同郷の偉人に負けないように気骨のある生き方をしたい。
そんな気持ちになってくる。
最近の日本,特に政権交代後は,対中国や北朝鮮,ロシアに対して,どうも間違った発信や外交をしているように感じてしまう。
明治の人たちが今の状況を見たらほんとに嘆くだろうと思う。
「坂の上の雲」を見ていると,世界情勢が俯瞰して見られる。
だから,日本は,今,確実に間違った対応をしているのではないかと考えさせられる。
かと言って,どのような対応をすればベストなのかはわからない。
ただ,歴史に学ぶことが必要だ。
時の政治家は,もっと勉強をしてほしい。
というよりも勉強をした者が政治家になってほしい。
そして,気骨のある外交を展開してほしい。
それだけは確実に言えることだ。
政治家は,自分の身の保身ばかりを考えて動いている。
総理になることや政治家になることが目的で,国のために動いている政治家は,ほとんどいないように見える。
福澤諭吉は,「学問のすゝめ」の中で述べている。
個人の自立が,国の自立につながるということ。
さらに,国家が恥辱を受けたときは,日本国中の人民が一人残らず,命を捨てて国家の名誉を守り抜く。
そこに,一国の自由・独立はある。
そのために,先人たちは,必死で駆け抜けてきたのだ。
最終的には,きっかけが欲しかったアメリカのトラップにかかるまで。
やはり,個人が,勉強するしかない。
勉強しない人ほど損な人はいない。
これまた福澤諭吉の言葉。
年齢を重ねて,知識を増やせば増やすほど,腑に落ちる言葉がたくさん見つかる感覚がある。
やはり,知的生活をして,自己を高めるしかない。
本学の社会系コースの先生方は,気骨のある方が多い。
修了生も本学の社会系コースに学んだことを誇りに,体制や時流に流されない気骨のある生き方をしてほしいと願っている。


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