封建社会(中世)の概観

　中世は，武士勢力の政権確立時期である鎌倉時代から，南北朝・室町・戦国時代を通しての時期の呼称で，南北朝以前を中世前期，南北朝以降を中世後期とされている。しかし，平安時代末期(院政期)から中世としている見方もある。政治的には，武士勢力の伸長により武家政権が実現する過程である。院政期には，北面の武士が院に近侍し，保元・平治の乱で，その実力を発揮し，平氏政権ができる。その後，鎌倉幕府が成立し，東国における支配権を獲得する。承久の乱の結果，武家政権が京都の公家政権に対して優位をもつようになる。鎌倉時代は，源頼朝の独裁政治から執権政治，さらには元寇を契機に得宗専制政治へと展開し，幕府を支える御家人体制が崩れることにより，滅亡する。

　後醍醐天皇による建武の新政以後は，60年に及ぶ南北朝の内乱が展開し，室町幕府３代将軍足利義満により統一され，有力守護の統制など幕府政治の確立期を迎える。しかし，関東では，享徳の乱以後，西国では応仁の乱以後，自立的な守護や守護代あるには，強大化した国人領主が戦国大名へと成長し，対立抗争を繰り返す戦国時代となる。土地制度の面では，院政期に荘園公領制が成立し，太閤検地によりそれが解体するまでの時代であった。支配者層は，荘園公領からの年貢・公事などに経済的依存をしていた。荘園公領の核となったのは村落で，自治的な惣村，土一揆や徳政一揆により領主と対決することもあったのである。中国の宋・明とは，盛んに交流があり，宋銭・明銭が大量に輸入され，貫高が経済の基準となった。二毛作に見られるように農業生産力の発展を背景に，商工業が盛んとなって，貨幣が必要となったからである。宋とは，正式な国交はなかったが，明とは朝貢形式の勘合貿易がなされた。

　仏教の面では，鎌倉時代に浄土宗系・禅宗系・法華宗系の６宗派が鎌倉新仏教として誕生し，従来の顕密仏教に加わって活動した。特に，臨済宗は，五山制度として室町幕府の保護を受けたこと，日蓮宗は，応仁の乱後の京都を復興された町衆に信仰を受けて法華一揆を形成したこと，浄土真宗は応仁の乱後，一向一揆を結んで100年にわたり加賀一国の自治を行ったことなどが政治との関わりで注目される。

　封建社会(中世)の年代を覚えよう。

　歴史の流れの中で，重要な年代を列記しています。まずは，正確に覚えることから始めましょう。