江戸幕府のポイントは？

　徳川家康が，江戸に幕府を開いた1603年から，幕府が倒れる1867年までの約260年間を江戸時代とよぶ。三河(愛知県)の小大名にすぎなかった徳川氏が，長期不倒政権を樹立し，徳川の平和が実現した時代であると言える。

　江戸幕府の成立

　関ヶ原の戦い(1600年)で，石田三成らを破った徳川家康は，1603年，征夷大将軍となり，江戸に幕府を開く。

　　　　　　　　▲徳川家康の覇権確立

　幕藩体制

 江戸幕府の統治は，将軍と大名(１万石以上の武将)との主従関係に支えられていた。大名の所領と人民とその行政組織を合わせて藩とよぶ。大名は，それぞれの藩の統治をまかされて，将軍に忠誠を尽くし軍役の義務をおう。このような主従関係をもとに，幕府と藩とで全国の土地と人民を治める体制，これが幕藩体制であり，これが江戸幕府の統治の基本的なしくみである。

　　　　　　　　　　　　▲歴代の徳川将軍(赤字は要チェックです。)

　江戸幕府の支配体制

１　大名の統制

　　　　　　　　　　　▲大名の区分と配置

　1615年の発布。大名の居城を１つに限ることで，軍事的拠点を削減する。

　大名が守るべき基本法。

　1615年　金地院崇伝(こんちいんすうでん)が起草。２代将軍秀忠の名で発布(13カ条)。

　1635年　家光が大改訂。以後，将軍交代ごとに修正をする(21カ条)。

２　朝廷と公家への統制

　朝廷の領地は，10万石で，独自の力はもちえなかった。

　1615年に発布。天皇に学問をすすめて政治から遠ざけ，皇族・公家の席次・官位・任免・紫衣・上人号の授与などの規定(17カ条)。大名や寺社への接近の警戒をする。

　朝廷・公家を監視するために設置する。　　

３　寺社の統制

　寺社領は，40万石で，年貢は免除される。幕府は，寺社を庶民支配の末端機構として寺院を利用した。

４　農民の統制

　幕藩体制を支えているのは，年貢を負担する本百姓である。

　村には，武士が常駐せず，農民の自治が許されている。

　村の長(おさ)の呼び名は，地方によって違います。

　本百姓に納税の義務がある。村を単位に課せられた。(村請制)

 「年貢は，百姓が死なぬよう生きぬように取れ。」が合い言葉。

　農民の生活統制をしたもので有名なものは，慶安の御触書である。

　1649年に制定。茶・酒・たばこなど嗜好品の禁止など，日常生活を細かく規制する。他にも村側から個々の農民に対する規制も強く，それに逆らえば村八分などの制裁。

５　封建的秩序

　幕府は，士(武士)・農(農民)・工(職人)・商(商人)の４身分を基本とする身分制度を確立する。

　　▲　１割にも満たない武士が支配者で有り続けるための政策は？

　苗字・帯刀を許される。無礼をはたらく庶民には，切捨御免(きりすてごめん)の特権を行使できる。

　幕府のしくみ

　徳川氏という一大名政権としてのしくみ(若年寄・目付)と，全国政権としてのしくみ(老中・大目付・三奉行)とを一つにまとめたもの。一大名政権が，約260の大名を支配し，全国政権になることができたのは，圧倒的な軍事力(旗本八万騎)と経済力である。