 ファシズムとは？
1919年(大正８年)は，ファシズムが芽を出す年である。1919年は，ドイツのヒトラ－がナチスに加わる年。イタリアのムッソリ－ニがファシズム運動を始める年。日本では，北一輝(きたいつき)が，「日本改造法案大綱」を執筆した年である。1930年代に姿を消すファシズム。ファシズムとは，極端な国家主義・軍国主義をとり，対外侵略を進める一方で，国内では，一党独裁によって，共産主義・自由主義を弾圧する支配体制のことである。日本は，イタリアやドイツ両国と手を結び，ファシズム体制を形成したのである。
 世界恐慌がきっかけとなり・・・・・。
1929年10月24日(木)。大戦後の繁栄を謳歌しているアメリカで，突然ニュ－ヨ－クのウォ－ル街の株式が暴落し(暗黒の木曜日)，それを引き金に，恐慌が起こり，世界に波及する。
日本への影響は？
○ 物価の暴落や企業倒産，失業者の激減など大きな影響を受ける。
○ 農村は，アメリカへの生糸輸出の激減。
○ 1930年の豊作での米価下落，1931年は，凶作で，農業恐慌が深刻化し，小作争議の増加。 |
ファシズム体制への動き。
| ドイツでは，ヒトラ－率いるナチスが，台頭(国際連盟脱退，ベルサイユ条約の破棄及び再武装の宣言)，イタリアでは，ムッソリ－ニ率いるファシスト党が独裁政治(1935年，エチオピア侵略，併合。)を始める。ドイツとイタリアは，資源・植民地に乏しかったため，経済で国を立て直すという発想が生まれなかったと言える。 |
○ アメリカは，1933年，フランクリン＝ル－ズベルト Franklin Roosevelt 大統領(アメリカ第32代大統領)は，ニュ－＝ディ－ル政策(「新規まき直し」)を推進する。
○ イギリス・フランスは，ブロック経済(本国と植民地との間の貿易を拡大する政策)を実施する。
○ ソ連では，スタ－リンのもとで，５カ年計画を次々に進める。
《日本でのファシズム体制強化の流れ》
1931年 満州事変。→満州国の建国。
1932年 五・一五事件。(犬養毅首相の暗殺)
1933年 国際連盟の脱退。
1936年 二・二六事件。
1937年６月 第１次近衛文麿内閣が組織される。
1937年７月 日中戦争が始まる。
1938年５月 国家総動員法(人的・物的資源を議会にはかることなく，政府が動員・運用・統制できるもの)が制定される。→戦時体制の強化。
1939年 第二次世界大戦が始まる。
1940年７月 第２次近衛文麿が組織される。
・東条英機陸軍大臣・松岡洋右外務大臣などの陣容。
1940年９月 日本軍が北部仏印(フランスインドシナ)に進む。
ドイツ・イタリアとの三国軍事同盟の調印。
1940年10月 大政翼賛会の発足。
・首相を総裁とし，町内会や各種団体を構成員とする「上意下達」の国民動員組織ができる。
1941年４月 日ソ中立条約を結ぶ。
1941年７月 第３次近衛文麿内閣の組閣。南部仏印に進出。
1941年10月 東条英機内閣の組閣。(1944年７月まで)
1941年12月８日 日本陸軍は，マレ－半島に上陸し，海軍は，ハワイ真珠湾を急襲し，アメリカ・イギリスに宣戦布告し，太平洋戦争が開始される。 |
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世界恐慌とファシズム 
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