火事をふせぐための広島市のシステムは，どうなっているのか。

　広島市は，広島県西南部に位置しており，北に中国山地，南に瀬戸内海があります。北，東，西側の三方に，標高６００ｍ以上の山が平地を囲んでいて，平野部は，太田川のデルタをはじめ，各河川に沿って形成された低地や台地などからなっています。デルタ地帯の市街地は，太田川から分かれた６本の川が広島湾に注いでいます。現在，広島市消防局は，647.15k�uの市域を管轄しています。

　広島市の消防署の数と名前をチェックしよう。　　

　　７つの消防署があります。中消防署・東消防署・南消防署・西消防署・安佐南消防署・安佐北消防署・佐伯消防署の７つです。

　安芸区には，どうして消防署はないのか。

　安芸区（瀬野川，矢野，船越，阿戸地区）は，海田地区消防組合に加入しているために，海田町に消防署・消防本部があり，安芸区には出張所があります。広島市消防局が，現在管轄をしている市域は，647.15k�uの市域です

　消防署には，どれぐらい出張所があるの？

　それぞれの消防署によって違います。中消防署（３　白島・基町・江波），東消防署（３　福田・温品・戸坂），南消防署（６　水上・青崎・東本浦・日宇那・宇品・似島），西消防署（４　三篠・己斐・庚午・井口），安佐南消防署（３　上安・祇園・沼田），安佐北消防署（３　白木・高陽・安佐），佐伯消防署（２　八幡・海老園）となっています。京橋川と猿猴川に囲まれたデルタを中心にして，北はＪＲ山陽本線を境として，東は青崎，向洋地区，南は似島や金輪島などの島々を含んだ地域を管轄している南消防署には，一番多い６つの出張所があります。つまり，広島市消防局は，７つの消防署と２４の出張所で組織されています。

　７つの消防署のそれぞれマスコットキャラクタ−について，その意味や願いを考えてみよう。

　それぞれのマスコットには，意味や消防署の人たちの願いがあります。どんな意味や願いがあるかを考えておきましょう。特に，動物と消防署のイメージを自分なりにつなげられるようにしよう。例えば，「ふくろう」のどんなところが消防署につながるの？など。

　　消防車両について，次の車両の名前と役割をチェックしておこう。

消防車両	名前	役　　割
	タンク車	タンク車は，水を積載していて消火栓や河川の無い場所でも水を出すことができる。
	大型動力ポンプ 消防自動車	大規模火災や同時に複数の火災が発生した場合など，大量の水が必要なとき，海，川，池を水源に最大４，０００リットル／分の水を送水できる大型ポンプを積載した消防車です。
	ホース延長車	大型動力ポンプ消防車が，吸水した水を送水する口径１００ミリの大型ホースをコンテナに積載し，走行しながらホースを延長する。（通常のホースは，６５ミリと５０ミリ）災害活動終了後は，延長したホースを車で自動的に収納し，コンテナを取り替えると消防活動資機材等の搬送にも使用することができる。
	指揮調査車	指揮調査隊が乗務する指揮調査車は，消防隊の出動するあらゆる災害へ出動し，消防隊の指揮や災害の情報収集や調査活動を行う。 消防車の種別では，ポンプ車に属する。
	救助工作車	地中音響探知器や熱画像直視装置，夜間暗視装置など，より高度な救助用資機材を積載した救助工作車で倒壊家屋からの要救助者の発見，救助などあらゆる災害現場での救助活動に対応する。現在，広島市には，２台の高規格救助工作車が配備されている。
	化学車	化学車は，化学液等による発泡倍率により油タンク火災の危険物災害などの低発泡と地下火災などで威力を発揮する高発泡がある。
	はしご車	はしご車は，主に高所での消火活動や救助活動を行う。広島市消防局では，５０ｍ級１台，３５ｍ級３台，３０ｍ級４台，１５ｍ級３台，２０ｍ級１台（スノーケル車）が消防活動している。
	電源照明車	夜間の火災現場や救助事故現場での災害活動に使用する消防車で、電源の無い災害現場での電気供給設備としても活躍する。
	屈折放水塔車	高所から大量高圧の放水を行うことのできる消防車で放水口の下端には窓などを破砕する装置を備えている。
	災害対応支援車	仮眠ベッド，厨房，トイレ，温水シャワー設備や消防隊員が３日間自給自足できる水・食料などを装備し，大規模災害や林野火災など長時間におよぶ災害現場において使用する。また，現地指揮本部，仮救護所としても活用する。大規模災害等の場合は，災害対応多目的車とペアで活動する。
	救急自動車	高規格救急自動車は，重度傷病者が医療機関に収容されるまでの間に行われる気道の確保，心拍の回復などの救急救命士による救急救命処置を行うための救急資器材を装備した救急車である。 広島市消防局では，平成４年７月からこの高規格救急自動車を導入し現在，３０台の高規格救急自動車が配備されている。
	消防ヘリコプター	消防ヘリコプター「ひろしま」は，広島県内各市町村（８６市町村）の消防体制の充実強化と市町村間の消防応援体制の確立を目指して 広島県下市町村共同利用方式によって運営している。県内で発生した災害が極めて大規模である場合や特殊なものである場合にヘリコプターを共同で利用しようとするもので，広島市と県内全市町村との間で消防組織法に基づいた応援協定を結び，ヘリコプターの運営に必要な経費の3分の１を県内各市町村が負担する方法で行っている。
	消防艇	消防艇「ひろしま」は，広島港，似島および金輪島などの島々の消防防災体制を強化するために，昭和５４年１２月に水上消防署の発足とともに消火活動や人命救助活動をはじめ，人員・資機材の搬送を行っている。現在の消防艇「ひろしま」は，平成10年４月に更新された新艇である。

 　火事が起こったら，関係機関とどのように連携をしているのかをまとめておこう。

　　消防局通信指令室を中心とした関係機関(水道局・電力会社・ガス会社・警察署・病院など)との協力体制ができています。大きな火事のときは，いくつもの消防署相互の応援協定ができています。

　　１１９番のかけ方は？

　 １１９番通報の中には，「火事だ！早く来てくれ！」だけで切れる場合があるそうです。これでは，場所が分からないので，消防車や救急車がその場所に行くことができません。次の要領で，早くて正確な「１１９番通報」をしましょう。

    広島市の火災発生状況は？

　 平成１４年の広島市の火災発生状況は，６２０件で前年（６２９件）よりも９件減少しています。 火災種別ごとの状況では，「建物火災」が３３３件で全体の約５４％を占め，次いで 「車両火災」，「林野火災」，「船舶火災」と続き，「航空機火災」は発生していません。焼損面積および火災損害額は，大幅に減少しています。死者については，大幅に減少し，負傷者にあっては増加しています。広島市の『原因別火災発生状況』では，昨年と変わらず「放火（疑いを含む。）」が最も多く(２１０件)，次いで「たばこ」(８２件)，「こんろ」(８０件)，「火遊び」(５３件)，「たき火」(３９件)，その他(１５６件)の順となっています。この中でも特筆されることは，前年の第１位の「放火（疑いを含む。）」が昨年に引き続き突出していることです。

  放火火災をされないためにできることは？

放火火災を防ぐために，広島市消防局では，放火されない，放火させない街づくりのための８つのポイントをあげています。

　広島市では，放火（疑いを含む）による火災は，昭和６１年に火災原因の第１位となって以来，連続して第１位であり，市内で発生する火災の約４件に１件が，放火又は放火の疑いのある火災です。放火火災を減らすためには，住民自らが放火を防止する自衛意識を持つことが大切で，「放火されない，放火させない，放火されても被害を大きくさせない。」街づくりを推進することが大切です。

　消火器の使い方は？

　消火器には，いろいろな種類と型があります。操作は簡単ですが，使い方を知らないと「いざ！」というときの消火に役立たないので，消火器の使い方を知っておきましょう。

�@　まず安全ピンをはずす。　

�A　ホースを本体からはずし，火元へむける。

�B　レバーを強くにぎると消火剤が噴出される。

　家庭用の消火器や水バケツなどの簡単な消火器具で消火できる範囲は，一般的に天井に着火するまでの間といわれています。避難口を背にして消火し，危険を感じたらすぐ避難する。炎にまどわされず，燃えているものに対して消火を行う。

　住宅防火に関していのちを守る７つのポイントを。

　広島市消防局では，３つの習慣・４つの対策を呼びかけています。

�@　寝たばこは，絶対やめる。

�A　ストーブは，燃えやすいものから離れた位置で使用する。

�B　ガスこんろなどのそばを離れるときは，必ず火を消す。

　天ぷら油の温度は，通常１７０〜１８０℃です。

　天ぷらを揚げてそのままにしておくと，どんどん温度が上がります。３６０℃を超えると自然発火してしまいます。

　これが，火事の原因の一つです。

�@　逃げ遅れを防ぐために，住宅用火災警報器(熱感知機・煙・ガス探知機等) を設置する。

�A　寝具や衣類からの火災を防ぐために，防炎製品を使用する。

�B　火災を小さいうちに消すために，住宅用消火器等を備える。

�C　お年寄りや身体の不自由な人を守るために，隣近所の協力体制をつくる。

　 学校の防火体制についてまとめておこう。

《消火するための設備》

消火栓・消火器・プール(防火水槽)・水道蛇口など

 学校には，火事が起きたときにみんなが安全に避難したり火を消したりするために防火設備があります。消火栓・消火器は，特別教室や廊下，体育館などにおいてあります。火事が起きたときには，これを使ってまず，火を消します。消火栓は，中にあるホースをのばして水を出して，火を消します。学校のプールも防火水槽の役目をしています。(１年中水を貯めています)

《火事を知らせるための設備》

火災報知機・放送機器・スピーカー・防災ベルなど

　火災報知機は，火事が起きたときにボタンを押してベルを鳴らせて，早くみんなに知らせます。

《火事を早く探知するための設備》

熱感知式・煙感知式火災警報器・ガス警報器など

　熱感知式や煙感知式火災警報器は，教室の天井にあります。熱感知式火災警報器は，火事が起きたとき，温度が上がるとこの器具が熱を感じ取り，非常放送設備のランプをつけて，ブザーを鳴らして，みんなに知らせるようになっています。煙感知式火災警報器は，煙がでると器具が煙を感じ取るようになっています。火災を感知する機能と警報を出す機能をワンセットにして，火災の発生を素早く知らせるようになっています。ガス警報器などと一体となった複合型もあります。

《火や煙からみんなを守るための設備》

非常口・非常階段・避難はしご

防火扉・防火シャッター・フェンスなど

　防火扉は，火事が起こると，防火扉が閉まり，そこから先には火事が広がらないようにします。防火扉が閉まると横にある非常口を使って避難します。非常階段は，避難するときに，この非常階段の近くにいる人やほかの階段が使えないときに利用します。避難はしごは，３階のろうかにあります。３階から下におりられなくなったときはこれを使って下におります。

　消火のカギは，「燃える３つの要素」をたちきることです。

　燃える３つの要素とは，「酸素・熱・燃えるもの」です。この３つをたちきることが，消火のポイントです。

酸素・・・・・・・・・・物が燃えるためには，酸素が必要です。だから，酸素をたちきること。二酸化炭素を増やすとよい。(消火器)

熱・・・・・・・・・・・・水をかけることで温度を下げて，熱をなくします。

燃えるもの・・・・・・燃える物をなくすこと。燃える物がなくなると燃えません。

　草をかりとる。ごみを出さない。新聞紙をそのままにしないなど。