封建社会(近世)の概観

　近世は，一般には織田信長が足利義昭を奉じ京都へ進出した永禄11(1568)年から，江戸幕府最後の将軍，徳川慶喜が大政奉還を申し出た慶応３(1867)年に至る300年間をいう。近世の政治・社会体制を幕藩体制とよんでおり，将軍を頂点に諸大名が全国の土地と人民を分割支配する統治体制をいい，それを可能にしたのが兵農分離・石高制・鎖国である。

　１６世紀末から１７世紀初頭は，幕藩体制の確立期にあたる。秀吉は，太閤検地により，これまで一つの土地に様々な権利が重層していたのを否定し，一つの土地に一人の耕作者，そして，一人の領主という関係を作る。さらに，全国の土地を石高(米の量)で把握し，それを基に農民に年貢等を負担させるとともに，大名などが負担する軍役もかれらが知行している石高を基準に負担させるという石高制を確立する。また，刀狩・身分統制令などにより兵農分離を進める。こうして幕藩体制の基礎が築かれる。幕藩体制下の対外政策である，いわゆる鎖国政策は，キリスト教の禁圧・貿易統制・国防など多くの要素をもっているが，本質的には，自給自足をたてまえとする封建社会の維持であり，幕藩体制の維持にそのねらいがあった。鎖国の完成に至り，幕藩体制が確立する。

　１８世紀前後は，幕藩体制の動揺期である。新田開発・農業技術の発達による農業生産力の向上，それに基づく全国的な商品経済の展開により，農民も貨幣経済にまきこまれ，土地を失うものと集積するものという階層分化が進行する。こうした本百姓層の解体は，かれらからの年貢により支えられてきた幕府・藩の経済を根底から揺るがすものとなる。財政窮乏を年貢増徴により乗り切ろうとする政策は，しばしば発生した凶作・飢饉を機に，百姓一揆を，また都市では打ちこわしを多発させる。

　１９世紀に入ると，ヨ−ロッパ列強のアジア進出の過程で，日本に対しても開国が求められるようになる。幕府は，この外交上の危機に対応できず，代わって朝廷の権威が浮上し，幕藩体制は崩壊に向かう。文化面では，鎖国後は，外来文化の影響を受けることもなく，経済力を背景に台頭した町人を担い手となったことは，前代までにはみられなかった近世文化の大きな特徴である。

　封建社会(近世)の年代を覚えよう。

　これをすべて覚えれば完璧です。歴史の流れの中で，重要な年代を列記しています。まずは，正確に覚えることから始めましょう。