交通事故をふせぐための広島市のシステムは，どうなっているのか。

　日本の警察制度は，明治の初期にヨーロッパの制度を手本にできました。明治5年9月に，川路利良を1年間ヨーロッパに派遣して警察制度の調査を行い，これに基づき，明治6年11月に内務省が翌明治7年1月に警視庁が作られ，日本の警察制度がはじまりました。日本の警察は，国の機関である警察庁と47都道府県に置かれる都道府県警察から成り立っています。(このうち，東京都の警察が「警視庁」です)都道府県警察は，それぞれの区域で犯人の逮捕や人々の安全を守る警察の仕事を直接行っており，警察庁は，これらの都道府県警察の活動に対する指導，支援，調査などを行っています。また，警察を民主的に運営するために，警察庁と都道府県警察を管理するものとして，国民の代表からなる公安委員会が置かれています。

　広島県には，いくつの警察署があるのか。

　広島県下には，２７の警察署があり，それぞれの警察署の下部機関として交番，駐在所等が設置されています。

　広島中央・広島東・広島西・広島南・広島北・大竹・三原・竹原・福山西・広・福山東・西条・府中・木江・ 庄原・呉・可部・三次・音戸・ 吉田・甲山・江田島・加計・海田・尾道・廿日市・因島の２７の警察署です。 広島市内にある(６つの警察署)のは，赤字で示しています。ただし，広島市を管轄している警察署は，５つの警察署(広島中央・東・西・南・北)を覚えおきましょう。

　交番制度が生まれた国は？

　町の中に交番の建物を置き，そこを中心に制服の警察官が活動するという制度は，明治７年に，日本(東京)で生まれたものです。当初は，建物はなく，街なかの交差点などに警察署から出向いて街を守っていたのですが，雨の日や風の日など大変だったので，明治１４年から交番の建物が建てられ，今のような制度で活動することになったようです。現在では，交番制度は，外国に輸出され，地域住民の安全を守るために日本警察が作った世界に誇るシステムとして日本の警察の大きな特徴となっています。

　交番という名前の由来は？

　交番は，日本で生まれた制度です。

　明治７年に東京警視庁に，「交番所」がはじめて設けられましたが，当時は，警察官が警察署から特定の場所に出向いて，交替で立番をする形をとっていました。「交番所」の名称の由来は，「交替で番をする所」ということから「交番所」といったようです。この交番所は，その後，建物を建てて，そこで仕事をする現在の形に変わりました。明治２１年１０月に「派出所」，「駐在所」という名前で全国統一されましたが，警視庁創設当時の「交番所」という名称がそのまま「交番」という呼び名で残ったようです。なお，「交番」という呼び名が市民の間に定着し，国際語としてもそのまま通用するほどになっていることから，正式名称も「派出所」から「交番(ＫＯＵＢＡＮ)」に改められることになりました。

　パトカーのはじまりは？

　パトカーは，昭和２５年６月に，アメリカ軍からオープンカーをゆずり受けて初めて登場しました。パトカーは，管内の事件，事故の発生に備えてパトロール活動をしたり，事件，事故の発生の際の初動措置を行うなど「動く交番」として活躍しています。つまり，動く交番なのです。パトカーが，日本に初めて登場した当時は，日本で生産される自動車の色は白色がほとんどで，パトカーも白一色だとちょっと見ただけでは，パトカーと一般の自動車との見分けがつきませんでした。そこで，パトカーであることが一目で分かるように，白色ボディの下半分をその反対色の黒色にぬりました。これが，パトカーを白と黒の二色にしたはじまりで昭和３０年には，全国的に統一されました。

　白バイは，昭和１１年8月にそれまでの「赤バイ」の色が白色に塗りかえられて誕生しました。台数は，３２台でした。赤バイは，大正７年１月に警視庁で誕生し，車体が赤く塗られていたため「赤バイ」と呼ばれました。白バイは，昭和１１年８月に登場したのですが，白バイの車体を白色にした理由は，ヨーロッパの各国やアメリカの白バイにならったもので大変に目立つ色であるからとされています。また，白色は，「平和と清潔」を表す色であり，白バイ隊員は，交通事故のない安全で快適な交通社会をつくるため活動する「平和の騎士」という意味で白色になったとも言われています。現在，白バイは，法律により緊急自動車とされその色は白色と定められています。広島には，町の環境に合うようにと緑色のバイクも登場しています。

　１１０番のしくみは，どうなっているのか。

　１１０番は，昭和２３年１０月１日に，東京・大阪・京都・名古屋等の８つの主要都市でできました。しかし，当時の番号は，東京が「１１０番」，大阪・京都が「１１１０」，名古屋が「１１８」などと都市により番号がまちまちでした。このため，利用者が警察に知らせるときに番号を間違えるなどの不都合が生じたため，全国どこでも同じ番号に統一することになりました。そこで番号を決めるときに，「おぼえやすい」(利用者におぼえやすい番号にすること)，「かけやすい」(緊急性を考え，ダイヤル式のダイヤルを回す距離(ストッパーまでの距離)が一番短い「１」を多くすること)「まちがいにくい」(誤りを防ぐために，ダイヤルを回す距離が一番長い「０」を使うこと)を考えて，昭和２９年に全国的に現在の「１１０番」に統一されました。広島県では，昭和２４年に１１０番の警察通報用電話が設置されています。

　広島県内なら，どこからかけても広島県警察本部の総合通信指令室にかかります。ただし，携帯電話を利用した場合には，県境付近では，島根県や鳥取県など隣県の警察本部にかかることがあります。１１０番をするときは，警察官に来てほしい場所の住所や目標物を確認してから通報すると，よりスムーズに警察官をその場所に呼べることができます。広島県警察本部では，平成１４年５月１５日から機器のＩＴ化を図った新システムで，１１０番の受理などにあたっています。

　１１０番をかけるときには？

　１１０番のポイントは，次の６つのポイントで。警察官は，次の６つのことを聞きます。

　という６つのポイントです。 １１０番は「あわてず」・「迷わず」が大切です。

　１１０番は，年間どのくらいかかるの？

　 広島県警察本部総合通信指令室におけるいたずらや間違い電話を除く１１０番の受理件数は，平成１３年中が，１７万５９５件で，平成１２年と比較すると，９，３４４件の増加となっているそうです。また，平成１４年上半期（１〜６月）では，８万６９６件で，昨年上半期（平成１３年）と比較すると２，２５３件減少しているそうです。いたずら電話は，絶対にしてはいけません。

　１１０番は，世界共通ではありません。

　主な国の緊急通報用電話番号は，次の通りです。アメリカ合衆国の９１１は，有名ですね。

信号のはじまりは？

　日本の交通信号は，大正８年(1919年)東京の上野広小路交差点で，木の板に「トマレ」・「ススメ」と字を書いてこれを回転させて使用したものが第一号だと言われています。また，電気を使用した信号機は，昭和５年(1930年)に東京の日比谷交差点に設置されたものが最初です。アメリカから輸入されたもので，赤，黄，青の３色の灯器が使われました。

　信号の色は，なぜ「赤」と「黄」と「青」なの？

　「赤」・「黄」・「青」は，色の三原色です。誰にでも分かるように信号の色をこの三色に対比させたものだと言われています。なお，信号機の灯火の配色は，横の場合は，右から，縦の場合は，上から「赤色・黄色・青色」の順となっています。赤色が一番目立つように配置するためです。赤の点滅と黄色の点滅の違いは，分かりますか？赤の点滅の場合は，必ずいったん停止する義務があります。

 道路標識には，どんな種類があるの？

　こんなにたくさんの標識があると，何を見たらいいのでしょうか。

　道路標識には，規制標識・指示標識・警戒標識・案内標識とこれら４種の補助をする補助標識の５種類があります。

規制標識

・　禁止，制限，標識に示された方法に従う標識です。都道府県公安委員会により設置される。

指示標識

・　特定の交通方法ができること，道路交通上決められた場所等の指示をする標識です。都道府県公安委員会により設置される。

警戒標識

・　道路上の注意，危険を促す標識です。道路管理者により設置される。

案内標識

・　地名，方面，距離を示し，交通の便宜を図る標識です。青色は一般道路用，緑色は，自動車専用道路用です。道路管理者によって設置される。

補助標識

・　規制の理由，規制区間の特定，規制が適用の日時，車両の種類の特定など，本標識の補足する標識で，通常本標識の下に取り付けられます。本標識の設置者によって設置される。 　

　広島県の交通事故の現状は？

　平成１４年中の全国の交通事故の発生件数は，９３万６，７２１件で，死者数は，８，３２６人。負傷者数は，１１６万７，８５５人います。そのうち，広島県の死者数は，２０２人でした。

　広島県では，平成１４年には，２２，３４４件の交通事故が起きており，死者数２０２人，負傷者数は，２８，４８５人です。それぞれの状況で一番件数が多いのは，時間別では，１５〜１８時，曜日別では，金曜日，道路別では，国道，年齢別では，最も多いのが，６５歳以上の高齢者が多いのが現状です。でも，いつでも，どこでも，誰でも交通事故は起こるものです。一人一人が気をつけるしかありません。

　交通管制センターの役割は？

　交通管制センターでは，交差点などに設置されている車両感知器やバス感知器，交通監視テレビカメラのほか，白バイ，パトカー，ヘリコプター等から交通情報を収集し，その情報に基づきコンピュータで交通信号機をコントロールして車の流れをよくしています。

　車両感知器・・・・通過車両台数や渋滞状況を自動的に感知し，交通管制センターのコンピュータヘ送る。

　　・　光学式車両感知器（光ビーコン）・・・・通過車両を感知するとともに，車載装置との双方向通信を行う。

　ヘリコプター・・・・・・交通状況を空からキャッチしていち早く管制センターヘ通報する。

　パトカー・・・・・・・・・現場の交通状況を無線により交通管制センターヘ通報する。

　バス感知器・・・・・・バスの通過を感知して交通管制センターのコンピュータヘ送り，バスのスムーズな運行を進める。

　管制室・・・・交通管制センターの中心。収集したさまざまな交通情報が，中央表示板やモニタテレビに表示され，刻々と変化する県内の交通状況を即時に知ることができる。この情報を元に情報板や路側通信により，最新の交通情報をドライバーに提供する。また，警察官に連絡して交通規制や交通整理を指令する。

　コンピュータ室・・・・車両感知器から送られてくるデータを解析してコントロールするほか，中央表示板の渋滞表示の制御などを行う。機械室には，大型コンピュータのほかに，光ディスク装置，磁気テープ装置，その各種データを記録するラインプリンタ装置，無停電源装置などを装備している。

　交通信号機・・・・・コンピュータでコントロールされ，最もよい交通の流れにするための青・黄・赤色を表示する。

 交通情報板・・・・渋滞状況を自動的に提供するほか，事故・規制などの最新情報を表示する。

　路側通信システム・・・・カーラジオの周波数を１６２０KHzに合わせることで受信でき，刻々と変化する交通情報をきめ細かく，迅速に提供する。

 道路交通情報通信システム（ＶＩＣＳ）・・・・VICS対応のカーナビゲーション等に渋滞や規制の情報を提供し，画面表示する。

　ラジオ放送室・・・・交通規制，道路工事，催し物など道路交通についての情報をラジオやテレフォンサービスでドライバーに伝える。

　収集した交通情報は，磁気ディスクなどに記録して信号機の運用改善や交通事故防止対策の資料として活用する。

　また，交通管制センターには，�@交通渋滞の緩和�A交通公害の低減�B交通事故の防止�C省エネルギーと環境の保護というはたらきがあります。