 万葉集の世界へ・・・・・
東歌や防人の歌を含め約4,500首を収めた歌集である。万葉がなが使用されている。主な歌人には，額田王・山上憶良・山部赤人などがいる。
あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る
(あかねさす むらさきのゆき しめのゆき のもりはみずや きみがそでふる)
額田王(ぬかたのおおきみ)
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《説明》
紫草が栽培されている野や御料地の野を行ったり来たりしながら，そんなに袖をふったりなさいますと番人に見つかってしまわないでしょうか。心配です。
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むらさきの におえる妹(いも)を 憎くあらば 人づまゆゑに 吾恋ひめやも
大海人皇子(天武天皇)
淡海の海 夕波千鳥 汝が鳴けば 情もしのに 古思ほゆ
(おうみのみ ゆうなみちどり ながなけば こころもしのに いにしえおもほゆ)
柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)
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《説明》
近江の海(琵琶湖)の夕波の上を飛ぶ千鳥よ，お前が鳴くと，この私の心も打ちし折れてこの地に都があった昔のことがしみじみと思われてならない。
銀も 金も玉も なにせむに 勝れる宝 子にしかめやも
(しろがねも くがねもたまも なにせむに まされるたから こにしかめやも)
山上憶良(やまのうえのおくら)
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《説明》
人が大切にする金銀も玉も，何の役に立つだろう。どんな立派な宝も子どもという宝よりすぐれているものがあるだろうか。そんなものはありはしない。
若の浦に 潮満ちくれば 潟を無み 葦辺をさして 鶴鳴き渡る
(わかのうらに しおみちくれば かたをなみ あしべをさして つるなきわたる)
山部赤人(やまべのあかひと)
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《説明》
若の浦に，潮が満ちてくると，干潟がなくなってしまい，鶴たちは，葦のはえている岸のあたりに向かって鳴きながら，飛んでゆくよ。
父母が 頭かき撫で 幸くあれて いひし言葉ぜ 忘れかねつる
(ちちははが かしらかきなで さくあれて いひしけとばぜき わすれかねつる)
防人(さきもり)の歌
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《説明》
父と母が防人として出かけてゆく私の頭をなで，達者でいるようにいった言葉をわたしは，決して忘れることができない。
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