 「プレゼン」のワンポイントアドバイス。
プレゼンとは，プレゼンテーション(presentation)の略。プレゼンという言葉は，広告会社が広告主に対して行う説明行為を指していたが，今では一般的に，ある人が，他の人々に，自分の意見や考え，研究成果などについて，口頭や機器を用いて説明して，説得を図るための提示活動のことです。プレゼンは，自分の意見や考えを視覚と聴覚とから理解してもらう貴重な場であり，発表者にも聴衆にもその時間が拘束されるので，有意義なものにする必要がありますね。
 １ プレゼンには，基本法則があります。
広告業界には，２つの法則があります。それは，アイドマ(ＡＩＤＭＡ's rule)の法則とアイドカ(ＡＩＤＣＡ's rule)の法則です。プレゼンにおいてもアイドカの法則で考えてみましょう。
ＡＩＤＣＡの法則
Ａｔｔｅｎｔｉｏｎ 注目 ・Ｉnｔｅｒｅｓｔ 興味 ・Ｄｅｓｉｒｅ 欲望 ・Ｃｏｎｖｉｃｔｉｏｎ 確信・Ａ ｃｔｉｏｎ 行動 |
《ＡＩＤＣＡの法則に沿ったプレゼンとは》
アイドカの法則とは，人が商品を見て買うまでの変化を英語の頭文字をとって説明したものです。まず，聞き手の「注目」(Attention)を引きつけることが大切です。パソコンのモニターを映し出したスクリーンは，聞き手の注目を集めるには有効です。そして，スクリーンに映像が現れると，それは，ますます「興味」(Interest)を引きます。そして，スライドとプレゼンターの発表のスキルに説得力があれば，聞き手には，「やってみたい。」とか「購入してみたい。」などの「欲望」(Desire)が出てきます。この段階ではまだ聞き手は，迷いがあるので質疑応答を通して，「よし，いける。」といった「確信」(Conviction)が生まれる。この確信がもてると聞き手は，ＧＯサインつまり，「行動」(Action)に移してくれるようになるわけです。
２ プレゼンに対する心構えがあります。
○ 自分の意見や考えに自信をもちましょう。
○ ４つの意識をもちましょう。
・ 目的意識をもちましょう。(何をプレゼンしたいのか。)
・ 相手意識をもちましょう。(聞き手は誰なのか。聞き手に合わせて分かりやすく。)
・ 時間意識をもちましょう。(内容量を考える必要があります。)
・ 場所意識をもちましょう。(声の大きさを考える必要があります。マイクの有無など。) |
３ プレゼン資料作成(パワーポイント)のワンポイントアドバイスがあります。
①文字の大きさ
これが最も重要な点です。文字は，大きなものを使おう。１頁に最高でも10行程度しか入らない位の大きさの文字を使いましょう。
②表現方法
表現方法としては，文章はなるべく使わず，箇条書きや絵を利用するとよい。これは，内容が直感的に分かりやすくなり，聞き手に対して親切な発表を行うことができます。また，絵が入っていると面白さが生まれ，聞き手も最後まで飽きずに発表を聞くことができます。
文章表現のポイント
○ 項目は，７項目にとどめる。
○ １行でまとめる。
○ 文体は，「～である調」が基本です。
○ 数字の使い方は，統一しておく。
○ 指示語は避ける。
○ 文字色やアンダーラインで強調する。
○ 誤字・脱字がないか見直す。 |
③図・表
図・表を用いることも，聞き手が内容を直感的に理解するために大変効果的です。
④配色
基本的配色は，明るい背景色に暗い文字色，またはその逆。タイトルと内容とで色を変えるのもいいですね。また，発表全体を通して統一感を持たせるために，同系色をうまく使い分けていくことが大切です。
⑤アニメーション
パワーポイントには，アニメーション機能があります。これは，話の進み方に合わせて順に文字を出したり，絵を動かしてより分かりやすくするために使用します。発表に変化をつけて聞き手を飽きさせないようにしたり，聞き手に注目すべき場所を知らせるという点で大変有効です。ただし，面白がって使いすぎると，見た目にとてもうるさくなってしまうので気をつけることが必要です。音にも注意をしたいですね。 |
４ 口頭発表で注意することは？
○ 分かりやすい話をする。
○ 説得力のある話をする。
○ おもしろい話をする。
○ コミュニケーションにおける三つの要素を意識しよう。
| ・ 言葉(話の内容) ・ 話し方(声の大きさ・抑揚など) ・ ボディランゲージ(視線・仕草・外見) |
○ よい論理の構成法を意識しよう。
分かりやすい話をするためには，全体の論理の構成法が大切である。結論から先にいえば「結論を先にいえ，理由は後で。」ということです。これが西欧の論理の構築法です。つまり，まず結論を先に言う。それから詳細を説明する。そして，最後にまた結論を言う。このパターンを頭に入れておこう。
「わたしの意見は，これこれである。その理由は三つある。第一に…，第二に…，第三に…，私の意見を要約するとこうなる。」というような話し方をマスターするといいですね。 |
５ 発表時間にも注意をしよう。
プレゼンでは，発表者は，必ずこの発表時間を守ること。そのためには，リハーサルを十分に重ねて，自分の話をする速度を確認しておくことが重要です。
６ 質疑応答で注意することは？
発表の後には，質疑応答の時間が設定されています。質問されるときには必ず一度は質問者と目を合わせ，質問者が何を聞きたがっているのかをその人の立場に立って考えて答えるようにしましょう。次の８点を特に，注意して質疑応答に臨みましょう。
(1）予想される質問とそれに対する回答を用意しておくこと。
(2) 発表中，答えられない質問が出たら，「それについては，もう一度，後でお答えします。」とはっきり対応する。
(3) 質問を受けるときには，その内容を必ずメモること。人によっては，いくつもの質問を一度にしてあなたを混乱させることがあります。
(4) 質問に答えるときは，まず質問を繰り返すことから始めること。よくあるのが，質問者の意図とは全く異なる答えをしてしまうというミスです。もちろん，質問自体が曖昧なことも多いので，答える前に，もう一度質問を繰り返すのがベストです。
(5) 質問の意味が分からない場合には，もう一度，質問を聞き返すことが大切です。
(6) どうしても質問に答えられない場合には，自分が分かることへ話をずらすのも一手です。
(7) 研究の方法や手続について批判され，それが的を得ていたら，変に議論をしないこと。素直に認めることも必要です。
(8) どんな質問でも質問をしてくれた人には感謝の意を示すことが大切です。 |
プレゼンに関する本は，かなり出版されています。分かりやすく説明してくれている本を紹介します。でも，これらの本は，一般的な実用書なので，私は，今，小学生でもできるプレゼンのマニュアルづくりを目指して，現在取り組んでいます。このホームページでも，その研究成果を公開していく予定です。
 【主な参考文献】
○ 箱田忠昭「成功するプレゼンテーション」日本経済新聞社，1991年。
○ 八幡ひろし「パーフェクト・プレゼンテーション」生産性出版，1995年。
○ 雨宮利春「パソコン・プレゼンテーション入門」実務教育出版，1997年。
○ 長尾裕子「うけるプレゼンの技術が面白いほど身につく本 自分の考えを上手に伝えるプレゼンテーションのコツ35」中経出版，2001年。
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