ランドマークを見つけよう
戻る
プロローグ(prologue)
私は,一人一人が個性豊かで,無限の可能性を秘めた子どもの成長にかかわる夢のある仕事をしています。
子どもたちの知的好奇心や日々反応の違う楽しさを味わいながら,私自身も子どもたちと共に生きているわけです。
しかし,最近のいじめや登校拒否などの問題を耳にすると,今の教育の何かが根本的に間違っているのではないかと率直に感じています。
人への思いやりを根底に,複雑かつ困難な時代の中で,自分自身が負けないでうまく自分をコントロールして,生きていくために必要な要素としては,
どんな力が必要なのでしょうか。私は,多くの要素が考えられると思いますが,次の四点に絞って考えています。
@ストレス対処能力A自己コントロール能力B社会的能力C情緒的能力の四つです。
ストレス対処能力というのは,困難な問題に遭遇しても自分自身が負けない力とでも言えるでしょう。
自己コントロール能力というのは,常にうまくいくとは考えられない現実の中で,いかに自分をコントロールしていくかという能力です。
社会的能力というのは,人や動物,植物などすべての生き物が共生している中で,生きていくための基本的な能力と捉えています。
最後に情緒的能力というのは,人への思いやりを根底にした「心」の豊かさとでも換言できると思います。つまり,様々なこれらの能力がなければ,生きていくことはできないと思います。
考えてみると,これらすべての根底を成す「生命(いのち)」というのも不思議な存在であると思います。
人は,何のためにこの世に生まれてくるのでしょうか。
誰もが,この世に生まれてきて,生きていることによって自分の夢は,限りなく広がり,何よりも自分自身が限りなく豊かで逞しくあるいは,
美しくなっていくことを信じて人生を深く味わって生きたいと考えているのではないでしょうか。
もちろん,生きている時間は,個々によって違います。
たった数年の命の人もいれば,百年以上も生きている人もいます。
人の命は,誰が決めているのでしょう。
平凡に,あるいは,普通に生きていれば何も感じない「生きる」ことを,人は,身近な人や大切な人の「死」に直面すると考えてしまいます。
また,よく人は,二つのものを手にすることはできないと言われます。
例えば,「金があれば暇がない。暇があれば金がない。金も暇もあれば,健康を害して病院通い。」なんて戒めの言葉をよく聞きます。
「生きる」というのは,本当にむずかしいものだと思います。
1997年1月27日。私の宝物である最愛の娘がこの世を去りました。たった4年間というあまりにも短い命で・・・・・・。
まるで,風のように私の前から突然消え去ってしまったのです。
娘の存在を一つ一つ記憶に刻むために本にしました。
これは,娘との永遠の別れを経験した父親としての,また,一人の教師としての「生きる」ことに対するメッセージとして読んでいただけるとうれしく思います。
2004年4月10日 關 浩和