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死の宣告を受けて
腎臓と肝臓,脳への治療の効果は,まったくと言っていいほど効果は,上がりませんでした。
集中治療室に移されて,5日目の24日の夜。ついに医者の方から信じられないことを宣告されました。
今までの治療の経過を説明された後で,
「このまま集中治療室で続けて死に至るか,通常の小児病棟に移り,両親に看取られて死ぬか。」
それは,我々にどちらを選択するのかということでした。
信じられないような趣旨のことを告げられ,私たち夫婦は,重要な意思決定を迫られたのです。
「可能性は,どうなんですか?0%なんですか?」
医者は,黙ってうなずきました。
「まったくないの?今まで何のためにやってきたんだ!」
そう叫びたい気持ちでした。
親としてあきらをどうすればいいのか迷いました。
でも,必死で自分を落ち着かせて言いました。
「すみません。集中治療室に入って,たった5日ぐらいであきらめろというのですか。
あなたは,早くあきらを集中治療室から追い出したいのですか。」
「そういうわけではありません。
ただ,集中治療室での治療は,お金もかかります・・・・。」
「お金?何でそんなこと言うのですか。どんなにお金がかかろうと治療してくださいよ。」
「・・・・・・・・・。」
前で座っている3人の若い医師は,何も言わないで座っていました。
主治医の大柄な男は,少し震えているように見えました。
「あの時,F病院なんかに転院させずにすぐに集中治療室へ入れてくれていればよかったんじゃないの。」
思わず本音の部分を言ってしまいました。
その一言で冷静さを失った私は,今まで思っていることを話しました。
待合室の横の仮眠室で笑っていたと思われる顔がオーバーラップしていたのかも知れません。
しかし,医者には,いつものことだからという雰囲気で聞かれているようで,こちらが余計に虚しくなりました。
しかし,妻は,冷静に何も言わないで座っていました。ただ,
「あきらの助かる可能性はないのですか。」
と,涙ながらに何度も訴えていました。
「ひじょうに厳しい状況です。」
それ以外の言葉はありませんでした。
「あと1日待ってください。生きるか殺すかなんていう判断をすぐにはできません。
小児病棟に移すということは,イコール死に至るということなのですから・・・・。」
医者は,黙ってうなずいていました。
集中治療室というのは,医療現場では,どんな位置づけの部屋なのか。
中に入っている人は,本当に助かる可能性があって治療をやっているのか。
どのくらいの期間治療するのをめどにしているのか。分からないことばかりでした。
親としての無力さを実感しました。
もし,自分が医者だったらあきらを自分で治療してやれるのに・・・・。
そんな空しさが自分をおそいました。
カンファレンスルームから出ていくのは,とてもつらい気持ちでした。
妻も同様だったと思います。妻は,何を思ったのか階下の集中治療室の扉のところへ行って「あきら!」と泣き叫んでいました。
私は,何もできずに待合室でボーとして座っていました。
間もなくすると妻が待合室に入ってきました。
「今日は,家へ帰ろう。」
と言うと,
「そうね。ここにいてもつらい。でも何もできないから,帰ろう。」
と妻もすぐに答えてくれました。