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先の見えない不安におそわれて
「これは,入院が長引きそうだな。」
「うん。どうなるのかな。あきらは・・・・。」
「長くなると思っていなかったので準備もしてないので,もう一度家へ帰って来るから,必要な物を言ってよ。」
「分かった。」
と,言って妻は,必要なものをふるえる手でメモをしていました。
妻は,これから先のことを不安がっていたのでしょう。
私は,朝,学校を急いで出てきたまま連絡をしてないことに気づき一度学校へ連絡をしておきました。
私の声の異変に気づいた事務の二井さんは,驚いた様子でした。
「先生,しっかりしてくださいね。学校のことは,だいじょうぶですから。」
「すみません・・・・・・。」
と言ったら涙があふれていました。
「あきらに障害が残るかも知れない。」
「もし死んだりすることがあれば・・・・。」
そんなことを思うとやりきれない思いが頭を破裂させそうでした。
その後,官舎に急いで帰りました。
車で帰っていても涙で前が見えにくい危ない状況でした。
何とか官舎へたどり着き,部屋のドアを開けると,愛媛から松前の義母が来てくれていました。
「あぁ,浩和さん。あきらは,どうなの?」
「厳しいですね。くわしいことは,まだ言えないけど・・・・。命が助からないかも・・・・。」
「えー!」と驚きの声をあげていました。
義母にとってもかわいい孫。
その孫が先に死んでしまうなんて想像もできなかったことだと思います。
「洸太朗と涼太朗のことをお願いします。」
と,言って,持っていく荷物を準備しました。
そして,急いで荷物を持って出かけました。
病院に着いて,ジュースと烏龍茶を買おうと自動販売機のところへ行くと,玄関のところから私を見つけて,大槻校長先生が出て来られました。
ふと後ろを見ると武内副校長先生も同行してくれていました。
「關先生・・・・・・,子どもさんは,たいへんですね。奥さんとも今,上で話しましたが,先生がしっかりしてくださいね。」
「わざわざ病院まですみません。あきらは,・・・・。」
と言った後,言葉が出てきませんでした。
「早く上へ上がってあげてください。
私たちも何と声をかけていいのか分かりません・・・・。
奥さんと子どもさんの側へ早く行ってあげてください。」
と促されてその場を離れました。
忙しい時期に病院まで見舞いに来て頂き,本当に悪いなぁと思いながらも急いで階段を駆け上がっていました。