ランドマークを見つけよう。  ランドマークを見つけよう   最愛の娘「あきら」です。  戻る




    「あきら」の遺影が迎えてくれた





 セルモ玉泉院に着くと,「関 玲葬儀・・・」という大きな看板がありました。
 「ああ,やっぱり現実なんだ。」
 車を降りて,中に入ると,あきらの大きな遺影が迎えてくれました。
 「控え室は,こちらでございます。」
 と,案内役の人が言いました。
 でも,遺影を見ると,その現実がまだ信じられなくて,その場から動けませんでした。
 「こちらでござ・・・」
 「分かってます。後で一人で行くのでじっとさせておいてください。」
 と声をあらげてしまいました。


 あきらの写真は,夏の日にホットケーキの粉を自分でといている写真でした。
 「あきらちゃん。こっち向いて。」
 と言って私が撮ったものでした。

 本当は,もう一枚,洸太朗と涼太朗の運動会のときに,鉄棒にぶらさがっている写真の顔が一番気に入っていましたが,「手を上にあげているので・・・・。」
 と別のものにするようにと促されてこの夏の写真にしたのです。
 夏なのでノースリーブの服でした。
 今の時期には,とても寒そうでかわいそうに思えましたが,かわいいあきらの雰囲気が出ている写真でした。
 「本当にここで葬式をするんだな・・・・。あきら,お父さんといっしょに買い物へ行くんじゃなかったの?」
 何度も心の中で言いました。


 控え室に入ると,部屋の奥のところに棺桶がありました。
 あきらの大好きだったセーラームーンが,棺桶に大きくプリントされていました。
 赤い花が,散りばめられたかわいい小さな棺桶でした。
 「これから,あきらちゃんを棺桶に入れさせていただきます。
  その後で,棺桶の中に,あきらちゃんのお気に入りの,思い出のものをできるだけたくさん入れてあげてください。」
 と,言われてあきらを静かに棺桶の中に入れてくれました。

 私たちは,家族みんなで人形や絵本,お菓子,お絵かき帳にサインペンと入れれるだけ入れてあげました。
 そして,棺桶のふたが閉じられました。



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