嬉野関係](大学院社会系コース同窓会誌)                


  「愉しみ」を見つけて

26・27期生のみなさん,修了おめでとうございます。
あっという間の2年間あるいは3年間だったと思います。
4月からそれぞれ違った場所での仕事。
活躍をお祈りします。
現場に出て働き出すと,その場以外のことはなかなかまわりが見えなくなってしまいます。
常に,情報のアンテナを張り巡らせておくとともに,素直に人の意見を聞く耳を持ち続けて,自分の人生を有意義なものにしてください。
私自身,このように言いながら,最近は,世の中の動きに関して怒りを感じることが多く,人生を「愉しむ」というゆとりをもてないというのが正直なところです。
日本は,福田康夫氏が,2007年9月自民党総裁になって以来,何とも停滞気味です。
福田さんには,小泉さんや安倍さんのような華がないので余計に感じるのかも知れません。
何となく遅れて出てきた徳川家康のような雰囲気がします。
のらりくらりと話をかわし,どんな話にも耳をかしますと言いながら,人の話は何も聞いていない。
結局,はじめから官僚の決めた結論ありきの行動をとっているだけのような気がします。
まあ,昔ながらの政治家そのものなのでしょう。
でも,少数派の国民は,ある意味安心している人もいるのかも知れません。
これまでのパフォーマンスには飽き飽きしているでしょうから。
最近の私の愉しみは,政治情勢を見ながら,今の政治家を戦国の武将に勝手に置き換えて想像して愉しんでいます。

小泉さんは,自ら織田信長と自負していたように,壊し屋信長そのものでしょうか。
だから国民にも人気があるし,未だに小泉待望論という幻想を抱いてる国民も多いのも事実だと思います。
でも,冷静に考えたら小泉さんがしたことは,自分の興味のある郵政民営化だけです。
しかも,郵便局がよくなっているかと言えば,いいことは一つも見えません。
道路公団のことでも中途半端な改悪で終わり,国民には何もプラスになっていないのが実状です。
でも,人間的な魅力というか,雰囲気がいいので,国民は幻想を抱いてしまう。
不思議な魅力の小泉さんです。
安倍さんは,織田信長を引き継いだ豊臣秀吉にはなれませんでした。
豊臣秀吉というよりも,織田信長を討った明智光秀的雰囲気が漂います。
また,どこか岩倉具視的公家・貴族風の雰囲気がします。
武将では,今川義元でしょうか。
まだ安倍さんは,50代半ば。
これからどうやって政界で存在感を示すのでしょう。
みんな総理を目指して政治家になるわけですから,若くして総理大臣という目標を達成した安倍さんには,これから隠居生活しかありません。
辞任会見の病的なイメージを払拭するのにも時間がかかるでしょうし・・・・・。
でも,早く完全な健康体になって,あとひと花咲かせてほしいと同情をしてしまうのはどうしてでしょう。
どこか弱さを持っている人に好意を抱いてしまいます。
リーダーになる人は,強さだけではだめ,どこか弱さをもっていないと人気は出ない。
そんなリーダーとしての秘訣を教えてくれているようにも思えます。
福田さんは,前述したように,雰囲気は徳川家康そのもの。
でも,実態は,家康ではなく秀忠そのものです。
父親である福田赳夫氏の子どもとして,何不自由なく生きてきたように思えます。
そして,知らぬ間に安倍さんが突然転げてしまって,タナボタ的な政権を手に入れた感じがします。
秀忠は,三代目の家光と比較しても何も実績がありません。
ただの傀儡政権だったところが,福田さんそのものに見えてしまうのかも知れません。
福田家は,徳川家のように,一族で長期政権を確立できるのでしょうか。
今後,誰に政権を渡すのか注目されるところです。
麻生さんは,人間的にとても明るい感じがします。
漫画好きで,秋葉原のオタクにも人気があるようです。
ネット社会での人気は政治家の中では抜群です。
しかも,驚くなかれ,麻生さんは,私と同じ誕生日。
これまで同じ誕生日の有名人と言えば,小田和正ぐらいしか知りませんでした。
麻生さんも同じ誕生日。
だから,何となくがんばってほしいと言う気持ちがわいてくるのかも知れません。
ただ,麻生さんは,見かけがどうしても世界を舞台に暗躍する超一流スナイパーゴルゴ13のデューク東郷的な雰囲気を醸し出していて,何となく恐い感じが損をしているのかも知れません。
しかも,なぜか口を歪めて話す印象があるので,違和感をもつ人もいるのでしょう。
でも,話すと人間的な魅力がいっぱい。
これから期待の星でしょう。
麻生さんを戦国武将で当てはめて考えていました。
麻生さんは,外交戦術にたけた島津貴久との共通点が多いようです。
島津家は,室町時代から明や琉球と交易をして,貴久自身も琉球の尚元王と修好を結んで,ポルトガル船などから銃や洋馬を輸入しています。
国内で,早くから産業事業を興し,インドにも親書を送るなどして外交政策にも積極的に取り組んだ人物が島津貴久です。
また,鉄炮をいち早く実戦で利用しています。
麻生さんは,地元福岡では,麻生セメント社長。
そして,言わずと知れたクレー射撃のモントリオール五輪の代表選手。
確かに共通点が多いとは思いませんか。
こうやって,いろいろと戦国武将に置き換えて現代の人物を見るのが最近の愉しみです。
徳川政権は,結局,薩摩・長州連合につぶされる運命にあります。
だから,薩摩藩の島津氏と共通点のある麻生さんは,明治維新に活躍する志士になればいいのです。
長州藩出身である安倍さんも麻生さんと行動を共にすれば,まだまだ可能性もあるかも知れません。
明治維新的な発想で,本当の政権奪取をすることができるかも知れません。
でも,その時には,本格的な政界再編が必要です。
日本は,戦後レジュームから脱却できて初めて新しい本質的な現代社会に突入できるとも言えるでしょう。
2008年は,いろんな意味で激動の年になることは間違いありません。

そんな波乱に満ちた社会に出て行くことになる修了生のみなさん。
大学院で学んだということは,社会で適用できる見方・考え方のスキルを学んだということだと思います。
時代の流れにただのみ込まれるのではなく,軸のぶれない人でいてください。
また,何かの機会にお会いしましょう。修了,心よりおめでとうございます。


戻る