嬉野関係](大学院社会系コース同窓会誌)                

 Keep Integrity(常に真摯であり,誠実でいよう)

39期生のみなさん,修了おめでとうございます。
今年度は,森清成さんと後藤義揮さんの二人と有意義な時間を過ごすことができたことに感謝をしています。
森さんは,兵庫教育大学附属小学校に在籍しながらの派遣だったので,自分の研究活動に費やす時間の確保がほんとに厳しい中で,精力的に取り組まれました。
立派です。
後藤さんは,1年目に兵庫県小学校教員採用試験に見事合格され,2年目は研究活動にも集中して取り組めたのではないかと思います。
2年間の成長ぶりは,賞賛に値すると思っています。
お二人とも今後,これで研究を完結することなく,新たなステージで再スタートするという気概をもって,学校現場でのさらなる活躍を期待しています。


2019年は,ラグビーワールドカップ日本大会で盛り上がりました。
TBSドラマのノーサイド・ゲームもステルス的に盛り上げ,日本代表の活躍がさらに拍車をかけました。
準々決勝となる決勝トーナメント対南アフリカ戦は,完全な力負け。
日本代表に戦う力は残っていなかった。
出張したホテルの部屋で観戦した最後の試合。
ハイネケンビールを飲みながら,テレビに釘付けになる。
前半は,3−5。
後半は,必ず逆転してくれると信じて応援をしていた。
自分にはどう見ても相手ディフェンスがオフサイドに見えてしまうほど,素早い鉄壁なディフェンス網に,日本の
BK陣は何も対応できず。

Wフェラーリと称された松島や福岡の足も有効に活かすことができなかった。
実力差はまだまだあることを再認識。
決勝トーナメントで勝ち上がっていくためにはまだまだ高い壁が存在する。
南アフリカに勝ち,ウェールズに勝ち・・・・・なんて淡い期待をして応援をしていたが,ベスト8でジ・エンド。


試合が終わって冷静に思い返す。
実際にやっている選手は,戦う前から力の差を知っている。
だから,どうせ負けるならば,オールブラックスと試合をして負けたい。
予選プールを2位通過して,ベスト8で終わる。
そんなシナリオが日本チームには描かれていたのかも知れない。
でも,アイルランドとスコットランドに勝っての1位通過。
力を残して戦うという選択肢はなかったのである。

スタンド・オフで司令塔である田村選手もスコットランド戦が最後の試合と口にしていた。
選手たちにとっては,そこがゴールだったのだろう。
でも,この決勝トーナメント進出の結果はすばらしい。

約1か月間。
ほんとに楽しい時間を過ごすことができた。
こんなにラグビー中心の生活はこれまでの人生で初めてだった感じある。
と同時に久しぶりに夢を見させてもらった時間。
日本代表には心から感謝している。
その間に,ワールドカップラグビー関連のピンバッチもほとんど大人買いをしてしまう。
松山にいる友人は,開幕戦だけでなく,試合ごとに集まって応援をしたようだ。
今の歳になって,一緒に喜びを分かち合える仲間の存在を改めて感じたようだ。
対南アフリカ戦では
17名の仲間が集まりPVを楽しんだようだ。
自分は,松山を離れているので,一緒に応援したのは東京での開幕戦のみ。
でも,
40年ぶりの修学旅行。
夢のような時間を過ごすことができた。
何より元気で生きていたこともうれしいことだ。
ラグビーのおもしろさを改めて実感することができた。
いずれ日本では,ラグビーのプロリーグも立ち上がってくれるだろう。
野球やサッカーのように,もっともっとメジャースポーツになってほしい。
でも,チャラチャラした浮ついた感じだけにはならないでほしい。

ここ地元兵庫には神戸製鋼がある。
故平尾誠二が活躍した神戸製鋼。
トップリーグの試合も久しぶりに見に行きたい気持ちも出てきた。
さらに,4年後のフランス大会には再び修学旅行をしようとみんなで盛り上がっている。
今からほんとに楽しみである。
そのためには元気でいないといけない。


なぜ,ラグビーにこれだけ惹き付けられるのだろう。
高校,大学時代とラグビーボールを追いかけていただけではない。
ラグビーだけでなく,学校教育やさらには人生にもつながる精神があるからである。
日本ラグビーフットボール協会
(JRFU)は,次のような行動指針を掲げている。

 Be  Open             人々とつながり,社会に役立とう。

 Play  Globally         世界視点で考え,実行しよう。

 Keep  Integrity         常に真摯であり,誠実でいよう。

ラグビー憲章では,さらに,ラグビーが高める5つの価値(@品位IntegrityA情熱PassionB結束SolidarityC規律DisciplineD尊重Respect)を示している。
その土台となるのがインテグリティ
Integrityなのである。
ラグビーに関わるすべて人々
(選手,指導者,観客,選手の家族,協会関係者など)が,ラグビーの場だけでなく,日常生活や社会生活の場においてもインテグリティという言葉が意味するところの品位や健全性を実現するための行動が求められている。
このインテグリティのために,暴力行為やアンチドーピング,反社会勢力との接触などのコンプライアンス違反だけでなく,ガバナンスの欠如などを排除することが必須とされている。
これらはまさに人生訓であり,社会人として,教育者としてすべて身の引き締まる思いである。

残りの限られた人生。
再びラクビーの価値を意識しながら生きていきたい,そんな思いを新たにした
2019年である。


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