■　戊午(ぼご)説　５３８年(現代語訳で書いています。)

　欽明天皇の戊午年(５３８年)，百済の聖明王がはじめて仏像・経典と僧を送ってきた。天皇は，蘇我稲目にこれらを授けて，仏教をさかんにされた。(上宮聖徳法王帝説)

■　壬申(じんしん)説　５５２年

　欽明天皇の１３年(５５２年)冬１０月に，百済の聖明王が，釈迦仏の金銅像一体，幡と蓋を若干，経論若干巻を献上してきた。そこで，天皇は，群臣ひとりひとりに次のように問われた。「西の国から献上された仏像の荘厳さはこれまで見たこともないものだ。これを礼拝したものかどうか。」この下問に対して蘇我稲目は「西の諸国はみな礼拝しています。わが国だけが，礼拝しないわけにはいきますまい。」と答えた。物部尾輿・中臣鎌子は「わが朝廷が天下を治める根源は，天地の神々を春夏秋冬に祭祀することにあります。それなのに外国の神を礼拝されるようならば，恐らくわが国の神々の怒りを招くことになるでしょう。」と反対した。そこで，天皇は，「礼拝をしたいと願っている蘇我稲目に授けて，試みに礼拝させてみよう。」といわれた。(日本書紀)