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廃藩置県の詔　廃藩置県の詔

　旧幕府時代の藩を廃止し，新たに県をおいて全国を政府の直轄地とした改革である。史料は，明治４(１８７１)年７月１４日に公布された明治天皇の詔である。明治３年頃には，新政府に対する不満は全国的に高まっており，政治的危機が進行していた。軍事的基盤の弱かった新政府は，薩摩・長州・土佐三藩から一万の兵を集めて政府直属の軍隊をつくった(御親兵)。この武力を背景にして，藩を廃止し，旧藩主の実権を奪った。旧藩の債務は政府が引き継ぎ，免官となった知藩事は東京在住が命じられた。ここに薩長を中心とした藩閥政府の基礎が確立した。

■　廃藩置県の詔

　私(明治天皇)が思うに，この明治維新に際して，内は国民を守り，外では列国と対等につき合うとすれば，名実ともに政令が一本化し集権化されねばならない。私はさきに版籍奉還をうけ入れ，新たに知藩事を任命して職務につかせた。しかるに数百年来の封建制の伝統の上に，名のみで実があがらない者もある。これではどうして国民を安じ，列国と対等につき合っていけようか。私は深く憂慮するものである。そこで更に藩を廃して県を置く。これはつとめて無駄をはぶいて簡素化し，有名無実の弊害を除き，政令が多方面から出る心配をなくするためである。諸役人は自分の真意を諒解してほしい。

〔法令全書〕

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