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版籍奉還　版籍奉還

　全国の藩主が土地(版)と人民(籍)を朝廷に返上したことをいう。明治新政府が中央集権体制を確立するためには，全国の総石高の八割以上を諸藩が領有している状態を改めることが必要だった。当時，政府も諸藩も財政事情は極度に悪化していった。藩の経営は困難になっていた。そこで，政府によると土地と人民の一元的支配を進めるため，木戸孝允と大久保利通が中心となって版籍奉還を推進した。この上表文は，１８６９(明治２)年１月２０日，薩摩・長州・土佐・肥前の四藩主から朝廷に提出されたものである。その後，奉還した藩は，２７４藩に達した。旧藩主は知藩事に任命され，華族に列せられた。

■　版籍奉還の上表文

　今や政治は一新し，すべて天皇の親政となった。まことに千載一遇の好機，改革は名目だけでなく実質のあるものでなければならない。その実をあげるには大義名分を明らかにすることが先決である。・・・・そもそも私どもがいる所は天皇の土地，治めている民は天皇の臣民である。どうして私有することが許されようか。今つつしんで私どもの土地・人民を奉還する。どうか朝廷が適宜措置されて，与えるべきものには与え，没収すべきものは没収し，諸藩の領地については天皇の命令で改めて決定すべきである。さらに制度・法律・軍制から軍服・兵器の制度に至るまで，すべて朝廷で定めて天下の政治は大小となく朝廷に一元化すべきである。そうすれば名実ともにそなわり，列強と並び立つことができよう。これこそ朝廷の急務，私どもの責務である。

〔法令全書〕

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