核不拡散条約

　核保有国が他国に核兵器やその技術を提供したり，非核保有国が核兵器を製造，取得するのを禁じることを主なねらいとした条約である。１９５４(昭和２９)年に米国が太平洋のビキニ環礁で行った水爆実験で，日本のマグロ漁船第五福竜丸が被爆し犠牲者が出たことを契機に，１９６３(昭和３８)年に米英ソ三国が大気圏内と宇宙空間および水中での核実験を禁止する部分的核実験禁止条約(ＰＴＢＴ)に調印した。その後，この種の禁止条約としては１９６５年８月から９月にかけて米ソが個別に拡不拡散条約(ＮＰＴ)案を提案，１９６８年米英ソなど５６か国がこれに調印。さらに１９７４(昭和４９)年には150キロトン以上の規模の地下実験を禁止する地下核実験制限条約(ＴＴＢＴ)，また平和目的でも150キロトン以上の地下実験を禁止する平和的地下実験制限条約(ＰＮＥＴ)が結ばれた。今日では大気圏だけでなく，地下核実験についても監視体制が整い，１キロトン(広島型原爆の１５分の１)程度の実験など小規模の実験も地震波によって測定できることから厳しい監視が可能となった。