Hello!寛政異学の禁Hello!  戻る。戻る

寛政異学の禁　寛政異学の禁

　異学の禁は，聖堂においては正学である朱子学のみを講義し，それ以外の異学(具体的には陽明学，古学など）を教えることを禁止するよう，大学頭林信敬にあてて出された。したがって林家の門人を対象にしたものであったが，しだいに諸藩の学校でも幕府の禁令ならうところが出るなど，結果的には朱子学の復興がみられた。学問・思想の統制を通して，幕府に忠実な役人の育成と風俗粛正を意図した。

■　寛政異学の禁

　朱子学は，慶長年間以来，将軍家代々が信用してきた学問で，すでに林家が代々その学風を維持するよう命じられてきたのだから，おこたりなく朱子学研修にはげみ，門人たちを勉励させねばならない。ところが最近，世間ではいろいろな新説を唱え，異学が流行し，風俗を乱す者があるのは，朱子学が衰えたためであろうか。はなはだすておけないことである。林家の門人たちの中にも，右のような正統でない学問を学ぶ者もあるように聞いているが，いかがなものであろうか。今度，聖堂学問所の取り締まりを厳重にし，柴野彦助・岡田清助たちにも右の御用を仰せつけられることになったので，よくよくこの趣旨を申し渡し，必ず門人たちに異学を禁じ，林家に限らず他の朱子学者とも話し合って，朱子学を講義・研究し，人材を取り立てるように心がけなくてはならない。

〔徳川禁令考〕

日本史資料集日本史資料集へ
戻る。戻る