室町時代のポイントは？

　天皇制ルネッサンスである建武の新政から南北朝の内乱が起こる。３代将軍の足利義満は，南北朝の合一に成功し，京都の北山に金閣を建てる。このことは，文化の担い手が，貴族から武士へ移っていったことを象徴している。そして，政治的な混乱が，さらにその輪を大衆へといっきに広げていったのが，この時代である。

　観阿弥・世阿弥が，現在に生き続ける能のスタイルを確立し，雪舟は，水墨画を生む。義満が始めた日明貿易により，絹織物や陶磁器が日本に輸入され，その後の日本の文化に多大な影響を与え，食生活や衣文化にも変化が現れる。また，戦乱や凶作が続く中で，宗教が大きな勢力として大衆を組織し，村では，住民自治(惣)が始まる。将軍の補佐役の管領には，有力な守護大名がつく。西国の武士や漁民などの中には，海のアウトロ−たち，つまり，海賊となる者(倭寇)が現れ，中国や朝鮮の沿岸を荒らすようになる。

　足利義満は，京都の室町に室町殿をつくる。だから室町幕府と呼ぶ。その豪華さゆえに，人々は，花の御所と呼んだ。武士の身でありながら，朝廷の最高職である太政大臣になる。

　室町幕府のポイントは，鎌倉時代の将軍の権威の低下を反省して，将軍の権威の確立である。

　そのために，将軍につぐ地位にあった管領(鎌倉幕府の執権にあたる)や侍所の長官を複数制にした。

　それを三管領・四職(ししき)と呼んでいる。

　鏡湖池(きょうこいけ)とよばれる池を中心とした庭園の中にある。

2000年2月關が撮影。

　まさに豪華絢爛の金閣寺は，1397年に足利義満が築いた山荘北山殿を義満の死後に義持が禅寺にしたものである。金閣は３層の桜閣で，第１層が，平安時代藤原期の貴族風の寝殿造(法水院(ほうすいいん))，第２層が鎌倉期の武家好みの武家造(潮音洞(ちょうおんどう))，第３層が唐様式(花頭窓(かとうまど)が象徴している)の禅宗風の仏殿(究竟頂(くつぎょうちょう))である。公家，武家，寺社という各時代の様式や権力を支配するシンボルである。費用は，１００万貫(約６００億円)と言われる。

鹿苑寺金閣の建築様式

　最初の金閣は，昭和25年，同寺の一僧の放火により全焼してしまった。昭和30年に復元され，昭和62年には，金箔の張直しも行われている。 金閣を中心とした池泉回遊式庭園は，衣笠山を借景した名園としても知られている。義満は，造園にあたり，希代の見物といわれた名木，名石を各国の諸大名から集めさせたということである。(赤・青・黒・白の色とりどりの石)

　農業の生産性が高まり，定期市も従来の三斎市から六斎市(月６回開かれた定期市)への市の開催日が増えていく。貨幣経済の発展を反映して，土地だけでなく，貨幣による収入が多かったのが特色である。

《農業の発達》

○　牛馬の使用・肥料の利用が拡大。二毛作も普及する。稲も早稲(わせ)・中稲(なかて)・晩稲(おくて)などその地方の風土に適した品種改良が行われた。

○　用水路や水車をつくり生産性を高めた。

○　商品作物(麻や桑など)の栽培。

《手工業の発達》

○　織物や陶磁器がさかんに作られる。

《商業の発達》

○　問丸や馬借などの運送業者，土倉や酒屋(多額の資本を有し，土倉を兼ねるものが多い)などの金融業者も出現する。

○　商工業者は，同業者ごとに座をつくって営業を独占する。

《農村の自治の発達》

○　村ごとに自治的な組織が発達する。(惣)

○　寄合が開かれ，おきてを定める。領主への反抗は，土一揆となる。

　足利義満は，倭寇を鎮圧し，明を中心とする東アジアの一員となることを考える。

1401年　僧の祖阿(そあ)と博多商人の肥富(こいずみ)を明に派遣し，明と国交を求める。

1404年　日明貿易(勘合貿易)が始まる。(勘合符(かんごうふ)：渡航許可証を使用)

　　　　　　　　　　　日明貿易(勘合貿易)の主な貿易品

日明貿易のポイント・・・・・�@貿易の開始は1404年。�A貿易の利益は，日本側の利益が大きかった。�B貿易船は，１隻に150人ぐらいが乗った。　

　室町文化は，公家文化と禅宗文化を融合した新しい武家文化として完成したもの(北山文化)に，都市・農村の民衆的要素が加わったもの(東山文化)である。