王政復古の大号令

　幕府の大政奉還により，倒幕の名分を失った薩長などの倒幕派は，岩倉具視ら急進派公家と連携して巻き返しをはかった。薩長藩士の大久保利通・西郷隆盛らが中心となり，ク−デタ−のかたちをとって１８６７(慶応３)年１２月９日に発せられたのが，「王政復古の大号令」である。ペリ−来航以来の国内の変動を「未曾有の国難」と表現して，対外危機感を強調している。そして，朝廷主導型の政治を行うことを表明した。徳川慶喜に対しては，大政奉還と将軍職辞退を許可し，幕府を廃止した。さらに，摂政関白の制度も廃止して，朝廷改革を行い，新たに総裁，議定，参与の三職を新設した。また，同日の小御所会議(初の三職会議)で慶喜の辞官(内大臣の辞職)，納地(領地の返上)を決定した。この決定に，旧幕府側は反発し，戊辰戦争が始まるのである。